新しいシーズン、そして新たなる展望
今シーズンのレースが開幕した FIA 世界耐久選手権(WEC)。その中から重要と思われるデータをご紹介しよう。
最速スピード
選手権での最高速度は、ル・マン 24 時間レースが開かれるサルトサーキットに設置されたユノディエールの高速ストレートで叩き出される。2014 年シーズンにポルシェ 919 ハイブリッドがそこで記録した最高速度は、およそ 335km/h。2 番目の記録は富士スピードウェイのロングストレートにおける 320km/h。3 番目はベルギー・アルデンヌのスパ・フランコルシャン。昨年、ポルシェの LMP1 はドライコンディションのオー・ルージュを舞台に 310km/h をマークしている。
参考比較:同じストレートを舞台にポルシェ 911 RSR が昨シーズンに記録した最高速度はそれぞれ 295km/h、268km/h、265km/h。ご覧の通りスピードに大きな差が出るため、レースを戦うドライバーには十分な注意が必要だ。
ティーム・ドライバー
トップクラスである LMP1 だけでなく、GT クラスにも昨年に続きワークスティームを送り込むポルシェ。“ポルシェティームマンタイ” は今シーズン、ドライバーのメンバーチェンジを行い、ル・マン 24 時間を含むFIA 世界耐久選手権 (WEC)ならびにル・マンレースに参戦する。
シルバーストーンで 4 月 12 日に開催される今シーズンの開幕レースではミヒャエル・クリステンセン (デンマーク)とリヒャルト・リーツ(オーストリア)が共にスタートナンバー♯91 の 911 RSR のステアリングを握る。またナンバー♯92 の 2 号車では、昨シーズン後半戦と同じくフレデリック・マコヴィッキィとパトリック・ピレ(共にフランス)がティームを組み、ル・マンレースではイェルク・ベルクマイスターとヴォルフ・ヘンツラー(共にドイツ)がそれぞれ 3 人目のドライバーとしてティームに合流する。
スターターフィールド
今シーズンの FIA 世界耐久選手権には、新記録となる全 35 台のマシーンが参戦を表明している。トップカテゴリーの LMP1 クラスは、新たに日産ティームが加わったことで計 11 台によって争われることになり、ポルシェ 919 ハイブリッドの他に 2 台のアウディ、日産、レベリオン、トヨタ、そしてオーストリアのプライベーター、ティームバイコレス(前ロータス)がスターターフィールドに並ぶ。特にスパとル・マンには、ポルシェとアウディ、日産が 3 台目のマシーンをレースに投入するため、熾烈なトップ争いが予想される。ちなみに、ル・マンレース 24 時間レースには、最大 56 台のマシーンがエントリーできることになっている。
プロトタイプクラス LMP2 には、20 台のレーサーがル・マン参戦登録を済ませているものの、その中で残り 7 つの WEC に参加するのは半数のみ。
GT クラスはプロとアマチュア、つまりワークスティームとプライベーターに分類されており、LMGTE Pro クラスでは 2 台のポルシェ 911 RSR が 3 台のアストンマーチンならびに 2 台のフェラーリに勝負を挑む。またル・マンでは 2 台のコルベットもレース参戦する予定だ。後者の LMGTE Am クラスにはル・マンへ 13 台のエントリーがあり、その他の WEC には 7 台が登録されている。
資金対策
比較的オープンなレギュレーションの中でティームの運営資金を抑制するため、2015 年シーズンではいくつかの制限が新たに加わっている。例えば LMP1 クラスではシーズンを通じて投入可能なエンジンは最高 5 基に制限されることになる。一連のルール改正では、ティームがショートレースまたは予選に向け特殊エンジンを開発するような動きを阻止する狙いがある。
この他にも、テスト日数が減らされ、サーキット上で任務を行うティームクルーの最大人数が固定化されることになった。
2015 年度のレース日程
1 シルバーストーン 6 時間耐久レース - 4 月 12 日
2 スパ・フランコルシャン 6 時間耐久レース - 5 月 2日
3 ル・マン 24 時間耐久レース - 6 月 13 / 14 日
4 ニュルブルクリンク 6 時間耐久レース - 8 月 30 日
5 オースティン 6 時間耐久レース - 9 月 19 日
6 富士 6 時間耐久レース - 10 月 11 日
7 上海 6 時間耐久レース - 11 月 1 日
8 バーレーン 6 時間耐久レース - 11 月 21 日